飼育ガイド 菌糸ビンの幼虫「暴れ」対策

菌糸ビンに幼虫を入れたとき、一カ所に落ち着かずビンの中をグルグル動き回ることを「暴れる」といいます。特に3令幼虫に見られます。理由はいくつか考えられますが、その回避方法についてご紹介します。

》空気の流通を確保し「暴れ」を回避する

幼虫が一か所にとどまらず動き回るのは、その場所の居心地が悪いためと考えられ、次のような推測が成り立ちます。

・菌糸ビンに投入された幼虫は、菌床を掘り返しつつ中にもぐる

・もぐったところがちょうど菌床を詰め替えたときと同じ状態になる

・その部分の菌床が再度菌糸を伸ばそうとし、微量ながら酸素を消費して炭酸ガスを出し、また若干発熱する

・居心地が悪くなった幼虫は別の場所に移動しようとする

・しかし狭いビンの中なので、結果、ぐるぐる動き回ることになる

これはあくまで仮説ですが、酸素の供給を増やし放熱を促してやれば、実際にある程度、「暴れ」を抑えることができます。

》フタに工夫する

その具体的な方法を、P850のポリボトルを例にご紹介いたします。

[1]菌糸ビンのフタを分解する

フタの裏側からマイナスドライバー、テーブルナイフなど先の平たいものを差し込みます 。

ドライバーを垂直に立てるようにしながら、テコの原理でフタをこじ開けます。

P850のフタは、分解すると3つのパーツに別れます。左から、一番上面のパーツ、中に収まるウレタン、十字の入ったパーツという構成です 。


[2]キッチンペーパーや防虫シート(不織布)を挟んでフタをする

適当なサイズにカットしたキッチンペーパー等(通気性があり、ある程度丈夫な素材)をビン本体にかぶせます 。

先ほど分解したフタのうち、十字が入ったパーツだけ使います。キッチンペーパーの上からググッと押し込めば完了です。

挟む素材の厚みによっては、フタをするのがかなりきつくなることもあります。フタがうまく閉まらないときや、P850以外の他の容器の場合は、輪ゴムでフタを固定してください。

もともとの状態に比べ、これでかなりの通気性が確保できました。同時に、コバエの侵入を防ぎ、中の水分の急激な蒸散を抑えます。

この状態で、幼虫が一か所に落ち着くまで、しばらく様子を見ます。

なお、冷暖房をかけている場合は空気が乾いていますので、長い間この状態にしていると菌糸が上から徐々に乾燥してしまいます。様子を見る期間は1週間以内にしておくほうがよいでしょう。

タランドゥスやレギウスなど、もともと幼虫の酸素要求量が多い種類には、3令にかぎらず、幼虫投入直後からしばらくの間、この方法を使って管理してやると落ちる率が下がります。

※幼虫がキッチンペーパーに穴を開けてしまった場合は適宜交換してください


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