事例紹介 オオクワガタ×ハイパーニクウスバ材

オオクワガタの産卵数アップに効果があります

ブリードが難しい種類の産卵がうまくいくなど、キノコの菌とクワガタムシの組み合わせによって、劇的に状況が変わることがあります。オオクワガタと「ハイパーニクウスバ材」の組み合わせもそのひとつ。ニクウスバタケで腐朽した材にオオクワガタが産卵することは以前から知られていましたが、当店は業界に先駆け同菌を本格的に産卵材に導入しました。オオクワガタ自体はブリードが難しい種ではありませんが、ハイパーニクウスバ材との組み合わせにより、産卵数が大幅にアップした、まったく産んでくれなかったメスがいきなり産卵しはじめた、といったご報告をこれまでにたくさん頂戴することができました。そうした多産例の一つとして、当店における事例をご紹介します。

(1)産卵セットのデータ
親虫 ♂60mm、♀42mm 福岡県久留米市産 累代品
産卵材 ハイパーニクウスバ材M×2本
容器 プラケース中(容量7.5リッター)
セット方法 1)ハイパーニクウスバ材の切断面に付いた菌糸皮膜をはがしたあと、ななめに2本並べてプラケースにセット
2)その上から、材が8割ほど隠れるまで埋込マットをかぶせる
3)転倒死防止用の木切れ、ゼリーを入れる
セット期間 2010年5月14日~6月21日
結果 2010年7月25日に割り出し
1令幼虫×5、2令幼虫×38 = 合計43頭
※ハイパーニクウスバ材M2本の合計
備考 ハイパーニクウスバ材は樹皮をはがさずセットしていますが、産卵が活発に行われると、メスの産卵行動によって樹皮が勝手にむけてきます。
小型の母虫でも通常の産卵木を与えたときに比べると、ハイパーニクウスバ材のほうが多く産みます。


(2)幼虫の割り出し
▼1本目

その材にたくさん産んでいた場合は、幼虫が食べ進んだ坑道が材の中にくまなくできていて、材全体が柔らかくなっています。この例では、樹皮をはがすとすぐ多数の坑道が現れ、幼虫も出てきました。

手とマイナスドライバーで簡単に材をほぐしていくことができ、幼虫を取り出すのがとても楽です。多く産んでいるときは細かい断片にまで幼虫が入り込んでいますので、見逃さないよう注意が必要です。

1本目の材からは、1令が4頭、2令が22頭出てきました。


▼2本目

1本目と同じように、材の中にはたくさんの食痕が見られます。年輪にそって材をはがしていくと、そのたびに幼虫が出てくるような感じです。

2本目は、1令が1頭、2令が16頭でした。



このセットからは、2本の材をあわせて、1令が5頭、2令が38頭、合計で43頭の幼虫が取れました。

これと同じくらいの数が、M材1本から出てきたというお客様もいらっしゃいます。その話をうかがったときは、さすがに驚きました。


この例にあげたメスは、その後、2回セットしました。

【第2回目の産卵セット】
●セット:2010年6月21日~7月25日
●割出 :9月7日
●使用材:ハイパーニクウスバ材M×2本
●結果 :2令×18頭、3令×8頭 = 計26頭

【第3回目の産卵セット】
●セット:2010年7月25日~10月6日
●割出 :10月6日
●使用材:ハイパーニクウスバ材M×2本
●結果 :2令×13頭 = 計13頭


42mmと小さめのメスですが、1シーズンの3回のセットで、合計82頭を産んでくれました。


実績例=国産オオクワガタ
・ハイパーニクウスバ材Mで、1本から幼虫40頭
・ハイパーニクウスバ材L14SEで、1♀からワンシーズン計100頭以上
・ハイパーニクウスバ材Lで、1セット70頭以上

などなど、オオクワが多産したという声が数多く寄せられています。


ハイパーニクウスバ材の効果とは?
ハイパーニクウスバ材の最も顕著な効果は、「産卵数の上限があがる」というものです。通常のクヌギ産卵木の場合、1本の材から20頭程度取れればまずまずといったところでしょうか。ハイパーニクウスバ材を使うと、この数が30頭以上になることがあります。1シーズンで1♀から100頭以上取れたというような例もご報告いただいています。

もうひとつは産卵促進の効果です。必ずしもすべての個体に当てはまるわけではありませんが、「2年間産まなかったホペイにハイパーニクウスバ材を与えたところいきなり爆産した」というご報告も寄せられています。

しかしながら、オオクワガタはもともと産卵に関して結構ムラがあるクワガタです。通常の産卵木を使った場合でも、産卵に至るまで複数の要素(親メスの成熟度・セット時期・栄養状態など)が絡み、結果として全く産まないケースもあります。
「ハイパーニクウスバ材」も、この点については例外ではなく、個体によっては十分な結果が得られないもの出てきます。その際には、次のような点に留意してセットしてください。


1)♀のコンディションを整える

セットする♀は、羽化から半年以上経過したものを選びます。望ましい例は、前年の晩夏までに羽化し成虫で越冬した個体です。餌も高タンパクゼリーやバナナなどを十分与えます。

2)自然のサイクルにあわせてセットする

温暖地や寒冷地を除き、セット時期は4月半ば~8月半ばが最適です。この時期がいちばん良いのですが、冬にセットする場合は、ひと工夫必要になることがあります。冬でも暖房さえしていれば、いつでも産むように思えますが、必ずしもそうではありません。晩夏にセットしてそのまま25度くらいの恒温環境に置いておくと、材の下にもぐったまま半分冬眠したようになります。
こうなってしまうと、いくら温度を維持し、ハイパーニクウスバ材を与えても産んでくれません。その際は一度、寒いところに置いて「冬」を経験させ、再度、暖房をかけた環境に入れてやると再び産み始めます。

3)その他

セットしてから産卵行動を取るまでにかなり時間がかかることがあります。手元の例では、セットして2カ月以上たってようやく産み始めたというケースもあります。産まないからといってすぐ材と親を離すのではなく、しばらく様子を見てみるのも一つの選択肢です。


別のケース

ハイパーニクウスバ材の初期の頃のデータです。10年以上前のものですが、当時も今も、ハイパーニクウスバ材の性能・品質に違いはありません。

(1)産卵セットのデータ
親虫 ♂62mm、♀46.5mm。福岡産F1
産卵材 ハイパーニクウスバ材M×2本
容器 中型コンテナボックス
セット方法 ハイパーニクウスバ材は、材断面および樹皮に付いた菌糸皮膜を大雑把に取り除く(樹皮は剥かずそのまま)。
埋め込みマット(この例では広葉樹の生オガコ)にて、材を半分ほど埋め込む。
セット期間 2004年5月25日~6月30日
※ペアリング後、第1回目のセット
結果 2004年7月29日割出
1令幼虫×3、2令幼虫×34、3令幼虫×1 = 計38頭
※ハイパーニクウスバ材M2本での結果


(2)幼虫の割り出し
▼回収:2004.07.29(産卵セットの中身をひっくり返したところ)
※写真にマウスを合わせると、拡大画像が見られます

写真の左右に見えている固まりがセットしてあった「ハイパーニクウスバ材」です。
すでに材からはみ出した幼虫が見えます。
少しわかりにくいですが、特に左の材には幼虫の坑道がたくさんあります。ニクウスバタケの菌糸も残っています。


▼割り出した幼虫
写真を撮った後、さらに2令幼虫が2頭出て、合計38頭になりました。
産卵数には個体差がありますが、この例の場合、M材1本あたり約20頭を産んだ計算です。


▼材から出てきた♂の2令幼虫
頭幅も大きく、順調に成長しています。


▼幼虫を割り出した後の材の割カス

材は適度に柔らかくなっており、サクサク幼虫を割り出せる状態でした。
ブリードに慣れた方でしたら材の良好な状態を、この写真から推測していただけるでしょう。

「ハイパーニクウスバ材」は、材をセットした直後、菌糸が埋め込みマットに広がることがありますが、そのままセットを続けていただいても問題ありません。
母虫によっては、材をバラバラにする傾向が見られます。その場合は、早めに親虫を材から離してください。


そのほか
ハイパーニクウスバ材をセットした直後、菌糸が埋め込みマットに広がることがありますが、そのままセットを続けていただいて大丈夫です。

▼ニクウスバタケの菌糸が埋込マットの中に伸び、マットが少し固まった状態

写真はプラケをひっくり返して取り出したところで、見えているのはもともと底だったところです。こういうときはマットの中から幼虫が出てくることがあります(矢印)ので、潰してしまわないようご注意ください。



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